アメリカ株の下落はまだ序の口?-トランプ関税とフーヴァー関税

Web3・トレーディング講座では、昨年の夏以降、アメリカ株を持っている方は、上がったら少しずつ利益確定することを推奨してきました。また、昨年の秋以降、あくまでも個人的な見解として、S&P 500に関しては、6200ドルを超えるまでは、上がったところで、少額ずつ売り上がり、崩れるのを待つ戦略でいいんじゃないかというお話をしてきました。なぜかと言うと、様々な経済指標やデータから、アメリカのリセッションが近づいていると考えられたからです。少なくとも、逆イールド解消後にリセッションがやって来る確率は過去100%だからです。

逆イールド

上のグラフを見てもらうと分かると思いますが、今回の逆イールド期間は過去最長に達しています。また、その深さもリーマンショックの時の比ではありません。そして、逆イールド解消後、半年から2年くらいでリセッションがやって来ています。今回の史上最長の逆イールド解消は昨年の9月ですから、時期的にもトランプ大統領はリセッションの引き金を引いてしまった可能性が高いと思われます。

次にS&P 500の週足チャートを見てみましょう。

S&P 500週足チャート

上のチャートを見てもらうと分かると思いますが、週足の終値で青のトレンドラインを割り込んでいます。これは2022年10月から始まった上昇が終わったことを示唆しています。今後、その下の赤のトレンドラインを目指して下落していくのではないかと想像しています。場合によっては、パニック的に一気に赤のラインまで落ちていくことも想定しておく必要があると思っています。先週は木・金と歴史的な暴落になりましたが、S&P 500の下落はまだ始まったばかりなのではないかと想像しています。

ここで、過去に、世界大恐慌を加速させたフーヴァー関税について見てみましょう。

世界大恐慌を加速させたフーヴァー関税とは?

1930年、アメリカが導入した「フーヴァー関税(正式名称:スムート・ホーリー関税法)」は、世界経済に重大な影響を与えた政策の一つとして知られています。いったいなぜこの関税が導入され、どのような結果をもたらしたのでしょうか?その背景と影響を解説したいと思います。

1.フーヴァー関税とは?

フーヴァー関税とは、1930年にアメリカで成立した関税引き上げ法で、当時の大統領ハーバート・フーヴァーにちなんでそう呼ばれています。正式名称は「スムート・ホーリー関税法(Smoot-Hawley Tariff Act)」で、議会の提案者である上院議員スムートと下院議員ホーリーの名前が由来です。

この法律により、20,000品目以上の輸入品に対して関税が大幅に引き上げられました。農産物をはじめ、工業製品などあらゆる分野が対象になりました。

2.なぜ導入されたのか?(背景)

1929年、アメリカで株価が暴落し、世界を巻き込んだ「世界大恐慌」が始まりました。アメリカ国内では失業者が増え、農民や労働者が苦しんでいました。そんな中で、多くの政治家は「海外からの安い輸入品が国内産業を圧迫している」と考え、関税を引き上げることでアメリカの企業や農家を保護しようとしました。スローガンは「アメリカ第一(America First)」でした。

3.結果:保護主義のブーメラン

各国の報復関税

しかし、この関税政策は大きな逆効果をもたらします。アメリカが輸入品に高関税をかけたことで、各国も報復としてアメリカ製品に高い関税を課しました。その結果、世界の貿易量は急激に縮小し、世界的な景気後退がさらに悪化しました。

アメリカの輸出産業が打撃

アメリカ企業も他国への輸出が難しくなり、かえってアメリカ国内の雇用や経済も悪化しました。つまり、守ろうとした農家や工場が、逆に打撃を受けたのです。

フーヴァー関税は、保護主義政策が短期的には安心感を与えても、長期的には経済全体を破壊しうることを示した歴史的な例です。この失敗は、後の時代の経済政策にも大きな教訓を与えました。第二次世界大戦後には、GATT(関税および貿易に関する一般協定)やWTO(世界貿易機関)といった自由貿易を推進する枠組みが作られ、世界経済は再び成長軌道に乗っていきました。

トランプ関税とフーヴァー関税

トランプ関税は、フーヴァー関税で味わった大きな痛みを経て、第二次世界大戦後に作られた自由貿易を推進する枠組みを壊そうとする試みのようなものだと思います。「アメリカ第一(America First)」を謳っている点はトランプ関税もフーヴァー関税も同じですよね。また、規模という観点では、トランプ関税は「全世界・全商品」を対象としており、適用範囲や最大課税率でフーヴァー関税を超えると言えます。

リセッションの下地が完璧に整ったところに、トランプ大統領は、かつて世界大恐慌を加速させた保護主義政策を絶妙のタイミングで打ってしまったことになります。今後、トランプ大統領の政策転換が無ければ、我々はかつて経験した世界大恐慌という痛みを再び味わう事になるのかもしれません。

先行き不透明になりつつある世界

ご存知の通りロシアはウクライナと戦争中です。アメリカは全世界に対して関税戦争をしかけています。EUはロシアに強硬姿勢を保ちつつ、アメリカとも距離をとりつつあります。台湾侵攻を企てている中国も経済崩壊しています。世界の大国と言われる国々が一様に不安定な状態になりつつあります。大国ではないですが、お隣の韓国も実質、内乱状態です。世界の先行きの不透明さに嫌でも世界が不安定になりつつあることを感じさせられます。不安定になりつつある世界に、もし世界大恐慌が襲ってきたらと考えると、どうしても「第三次世界大戦」という言葉が頭をよぎってしまいます。

Web3・トレーディング講座では、現在の世界の状況をチャートや経済指標から考えていきます。雑学講座では、歴史を通して、今の世界の状況を考えてみたいと思います。shin MICの講座に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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shinmic
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松本市で活動しているフリーランスの2人組です。
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