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Bitcoinと鈴木商店 | 判断の思考部分について考える

Jun 24, 2021 学びの種
思考と判断

皆さんもご存知の通り、5月にビットコインが大暴落した。ビットコインだけではなく、もれなく他の仮想通貨も大暴落したわけだけど。

あっという間に価値が半分になってしまったから、もし最高値の1ビットコイン700万円近辺で買っていたなら、大損害だ。これほどの大暴落だから甚大な損害を被った人も多いかもしれない。ビットコインの爆上げ過程では、メディアでもそれをあちこちで取り上げていた。仮想通貨投資による「億り人」の紹介なんかも、この時期にはよく目にした。

しかし、仮想通貨に限らず株なんかもそうだけど、メディアが爆上げを取り上げだすのは、既に爆上げの終わりの時期から頂点をつける時期がほとんどだ。だからメディアで取り上げられるのを見て「儲かりそう!」と手を出すと痛い目を見るパターンが多いんじゃないかと思う。そして、ひとたび大暴落が起これば「仮想通貨バブルは終わった」とか「大暴落はまだ始まったばかり」といったネガティブな報道のオンパレードになる。まあ、ビットコインに関しては実際に「中国のマイニングの禁止」とかテスラの「テスラ車のビットコインによる購入を認めない」といったネガティブな出来事が続いたのも確かだけど。

そんな中、積極的なビットコイン投資で知られる米ソフトウエア企業のマイクロストラテジーが約540億円分のビットコインを買い増ししたと発表した。平均購入価格は3万7617ドルということらしい。今日現在1ビットコインは3万4000ドル近辺だから評価損が出ていることになる。今後、マイクロストラテジーがどうなるかは分からないが、えてして巨額の利益を上げる人は、こういった総悲観の中で密かに買ったりしていることが多い。

そもそも、現在のビットコインの状況が、そこまで悲観的なものかを冷静に考えてみれば、ビットコインは元々乱高下が激しく、毎年のように50%くらいの大暴落を繰り返している。そしてそのたびに総悲観状態になりながらも再上昇して高値を更新し続けてきている。だからと言って今回もそれがあるとは限らないけれど、ビットコインの値動きをよく見ている人の中には、今が絶好のチャンスと捉えて大量購入する人がいても不思議な話ではない。

 

鈴木商店

皆さんは鈴木商店をご存知だろうか?
鈴木商店は明治から昭和の初めにかけて活躍した商社だ。神戸の一個人商店から始まり、瞬く間に日本一の総合商社になっている。その最盛期にはスエズ運河を航行する船の1割が鈴木船籍だったというから凄いものだ。鈴木商店は昭和に入って倒産するが、鈴木商店からはIHI、帝人、双日、昭和シェル石油、サッポロビール等々の大企業が生まれてきている。僕は個人的に鈴木商店の物語が好きなので、また機会があれば、いろいろと書いてみたいと思うけれど、今回は、とりあえず興味のある方は、下の動画で鈴木商店のあらましを掴んでみて欲しい。

 

 

上の動画の中にも出てくるが、鈴木商店が本格的な世界進出をするきっかけになったのが、鈴木商店の立役者である大番頭の金子直吉による鉄の買いまくりだ。第一次世界大戦勃発時、多くの人が、この戦争は長引かないと考えていたわけだけど、金子直吉は独自の情報網から戦争は長引くと考えて、鉄の需要が増えることを予測し、信念をもって鉄を買いまくっている。鈴木商店が鉄を買いまくるのを見て「鈴木の金子は頭がおかしくなった」とか「これで鈴木も終わりだ」と他の商社ではささやかれていたみたいだから、金子直吉だけがその他大勢と逆の判断をして思い切った行動に出ていたことになる。結局、金子直吉の予測が当たって鈴木商店は巨額の利益を得ることになるわけだ。

 

判断の思考部分について考える

もともとビットコインの値動きをよく観察して分析している人でもない限り、この大暴落状況で新たにビットコインを買ってみようと思う人は少ないはずだ。多くの人は「ビットコインは怖い、危ない、怪しい」といった感情によって、手を出さないという判断に至るだろう。逆に上に書いたマイクロストラテジーなどは、ビットコインの値動きを観察分析し、論理を積み重ねた上で買い増しするという判断にいたったんじゃないかと想像できる。鈴木商店の金子直吉も、他から何を言われようが、自分の情報分析と論理の積み重ねから確信を持って鉄を買いまくったのだと思う。

しかし、情報分析や論理を簡単に裏切ってくるのも相場というものの動きだ。自分の情報分析と論理から確信にいたり信念に固執すると、相場が逆に動いた時には「自分は間違ってはいない!間違っているのは相場だ!」と本末転倒な事を言い出す人もいるくらいだ。以前の記事の論理を超える「なんとなく」でも書いたが、論理よりも直観に従った方が正しいこともある。つまり相場を判断する際、思考部分において論理的な考えが正しいとは限らない。では直観が正しいのかと言えば、論理的な考えよりも分が悪いことの方が多い。もちろん感情に従った判断ともなれば、さらに分が悪いことが多いのは明らかだ。

我々は生きている限り、小さなことから大きな事まで、常に判断を迫られる。判断を迫られるということは、そこに不確定要素があるからだ。だから、その判断が正しかったかどうかは結果論であって絶対的に正しい判断というものはない。それでも我々は判断を行う時は正解するために判断を行う。よく判断材料という言葉が使われるが、判断材料という言葉を出す時点で、その判断は論理に頼ったものと言えるだろう。しかし相場のように論理を逸脱してくるケースも多々あるわけで、ある判断材料による判断が間違っていた場合、そもそも判断材料が間違っていたと、別の論理が持ち出されてくる。しかしこの論理は言わば後付けのものであって、判断前にその論理を確実に引き当てられるものではない。

我々は判断を行う際、論理だけでなく、感情や直観、願望など様々な思考に左右される。だから判断する際、自分はどの思考に偏っているかを意識してみる必要がある。また、自分はどのような場合にどの思考要素のウエイトが高くなりやすいのか、それによって正解を導くことが阻害されている可能性はないかを意識してみることは大切だと思う。

あなたなら、大暴落しているビットコインを買いますか?
自分の判断はどの思考要素によるものですか?
ちょっと真剣に想像してみるだけでも、判断の際の思考要素を意識するきっかけにしてもらえるのではないかと思う。

 

YUICHI KOBAYASHI

YUICHI KOBAYASHI

ちょっとした意識の持ち方で自分の世界は大きく広がります。人生を豊かにする楽しい学びをしていきましょう!!

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