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フェイクと僕らの判断

May 19, 2021 学びの種
教室とフェイク

スマホアプリのFaceAppRefaceを使ってみた。

FaceApp若返り加工
FaceApp老化加工
FaceApp性別変更若返り加工
FaceApp性別変更老化加工

上の4枚の写真は全て僕の顔をFaceAppというアプリで加工したものだ。見て分かるように、若返らせたり、老化させたり、さらには性別を変更したりと自由自在だ。

従来、肌を若返らせたり老化させるだけでも、Photoshopを使って、それなりにレイヤーを重ね、フィルターを組み合わせたりして、手間とテクが必要な作業だった。つまり、こんな事はPhotoshop職人と言われる人たちの領域で、一般に誰もが出来る事ではなかったのだ。

ところがFaceAppを使えば、グラフィックソフトの知識なんか皆無でも、簡単に、しかも一瞬で誰でもこんな加工が出来てしまうのだ。

これだけ簡単に誰でもできてしまうのだから、こういった写真はSNSなんかでも多く使われていることが推測される。少し悪意を持って使えば、僕のような50代のオッサンが1枚目と3枚目の写真を利用して若い男の子や女の子に成りすますことができる。しかも、アプリを使えばプロフィール写真だけでなく、日常的に投稿する写真も全て若者になることが出来るから信憑性もあがるわけだ。

こういったアプリが一般にしかも無料で出回っている以上、SNSに掲載されているプロフィール写真を馬鹿正直に本人そのものとして見る人も少ないのかもしれない。しかし、成りすましの50代のオッサンとSNSで友達になり、やり取りをする中で、親近感や恋愛感情を抱き始めれば、おそらく、その人の中では写真は本人そのものになっていってしまうだろう。

実際に、海外でのそういった手口の詐欺行為なんかは、よく耳にする。

上の動画は、Refaceというアプリを使って、パイレーツ・オブ・カリビアンのジャック・スパロウの顔を僕の顔と入れ替えたものだ。こんなふうに動画も、顔を誰でも簡単に入れ替えたりすることができるアプリが一般に無料で出回っているし、さらに精巧なものを作るソフトも出回っている。

上の動画は誰が見てもフェイク動画だと分かるだろう。
しかし今、ディープフェイクといって、顔写真のデータを人工知能(AI)に大量に学習させて作る偽動画が問題になっている。これは映像だけでなく音声までも合成することができてしまう。

現状ディープフェイクはポルノ映像の顔をハリウッドの俳優や女優の顔と入れ替えたフェイクポルノが圧倒的に多いようだけれど、政治家や著名人の発言などのディープフェイクもあり、社会的な影響が大きい。

 

オバマ元大統領がトランプ大統領(当時)を「完全なばか者」と罵倒したり、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが「何十億もの人から盗まれたデータを、1人の男が管理する世界を想像してみて」と語り掛けたりする偽動画も存在。国内では昨年10月以降、芸能人のフェイクポルノを配信した男らが名誉毀損(きそん)容疑などで逮捕される事件が相次いだ。

JIJI.COM
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021050400388&g=soc

 

アメリカでは既に大きな社会問題になっているようだけれど、日本でも徐々にこういった映像や写真が出始めているようだ。

ディープフェイクは技術の向上とともに、その映像が本物なのかフェイクなのか見分けがつかない精巧なものになってきている。そして、ディープフェイク作成ソフトと、それがフェイクかどうかを判定するためのソフトの開発のイタチごっこになっているのが現状だ。

政府要人等に好きな発言をさせる動画が作れるのだから、恐ろしいことだ。フェイク判定ソフトがあっても、ひとたびそういった動画が投下されれば、デマが広がるスピードの方が早いだろう。

デマは、もっともらしい事や、人々が不安を抱えている内容に関してのものは広がりやすい。だから、厚生労働大臣が記者会見で「コロナのワクチン接種を行うと1年後にゾンビ化する可能性があることが分かりました!」なんて発言しているフェイク動画を作成しても、それは面白動画くらいにしか皆思わないだろう。でも、

新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000778304.pdf

なんていう厚生労働省の資料とともに、厚生労働大臣が「ワクチン接種の危険性を隠蔽しろ!」と指示しているフェイク動画を作成して投下すれば、デマとなって拡散され、大きな社会不安を引き起こすだろう。ちなみに上の厚生労働省の資料は死亡事例とワクチン接種との因果関係は認められないという内容になっているが、いったんフェイク動画が広まれば、それさえも、隠蔽のための資料として捉えられ、事態収拾に時間がかかるようになる可能性だってある。

実際に、アメリカではフェイクによる深刻な事態が起きてきているわけだから、日本でも対岸の火事とは言っていられないだろう。

我々は今、技術の進歩により何が本当で何が嘘なのか見分けるのが難しい時代に生きていることを、それぞれが自覚しなければならないだろう。

バイアスによる自分自身の判断への影響をよく認識し、自分の判断が論理に影響されやすいのか、感情に影響されやすいのか、言葉や権威に影響されやすいのかといった、自分自身の思考判断の癖をよく認識する必要があると思うのだ。

その為には、我々は自分の思考判断の癖を意識しながら、日々、学び続けることが大切だと僕は思っている。

YUICHI KOBAYASHI

YUICHI KOBAYASHI

ちょっとした意識の持ち方で自分の世界は大きく広がります。人生を豊かにする楽しい学びをしていきましょう!!

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