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インセル(incel)–非モテの社会問題化

Mar 13, 2021 学びの種

インセル(incel)は「involuntary celibate」を合わせて作られた言葉で、「不本意の禁欲主義者」という意味になるらしい。

インセルとは、セックスや性的魅力をめぐる競争は生まれたときから公正ではなく、自分たちは遺伝子のくじ引きの負け組であると考え、恋愛やセックスがしたくても出来ず、孤独や不幸に苛まれるのは、モテる男や、それになびく女のせいだと考えており、モテる男や女性に憎悪の念を燃やしているオンライン・コミュニティのメンバーのことだ。白人男性の異性愛者が多いとされている。

インセルの思想の世界には、細かな区分けがあるのだけど、特にモテる男性の上位ランクを「チャド」そしてそれになびく女性の上位ランクを「ステイシー」と呼んで軽蔑している。チャドもステイシーも性的魅力に溢れ、セックスに不自由しない人たちだ。インセルは、女性はチャドではなく自分たちに魅力を感じるべきなのに、そうならないことから、女性はセックスと権力への欲だけに駆られる、人間以下の生き物だという女性蔑視の思想を持っている。

そして、この憎悪が北米では無差別殺人(彼らにとってはチャドやステイシーの駆逐であって無差別という認識ではないのかもしれない)という形になって現れ、社会問題化している。

インセルが過激化したのは2010年頃からのようで、過激なフェミニストグループの出現やMeToo運動なんかが関係しているようだ。さらに人種差別、政治思想なども絡み複雑化している。そして、なんといっても過激化する契機になったのが、当時22歳のエリオット・ロジャーが引き起こしたアイラビスタの銃撃事件だ。銃とナイフで6人を殺害後、自殺している。

2018年にカナダのトロントでインセルが起こした事件では、車で通行人に突っ込み10人が亡くなっている。そのほとんどが女性だったそうだ。そして犯人は犯行前に自身のFacebookに「インセル革命はすでに始まっている!」「チャドやステイシーどもを全滅させる!」「最高紳士エリオット・ロジャー万歳!」といったような投稿をしている。
この投稿を見る限り、一部のインセルの間では、エリオット・ロジャーは神格化され、非モテの集団がカルト化しているのを感じる。

エリオット・ロジャー(Elliot Rodger)

エリオット・ロジャーとは何者だったのか?

彼は事件前に知人に137ページもあるPDFファイルをマニフェストと称して送りつけている。その内容を解説した動画がYoutubeにアップされていた。下はその一部だ。続き物になっているので、興味のある人はYoutubeを検索して続きを見てもらえればいいと思う。

彼は裕福な家庭の生まれで、個人的な感覚では、いたって恵まれた環境で育っている。一番上の動画でも分かる通りインセルの多くが嘆くブサメンでもない。

動画の解説によると、BMWに乗り、高級なブランド物に身を包んで、大学の教室に入っても女子は彼をを一顧だにしない。彼のような車やブランド物もなく、しかも野蛮な男が女子にモテる。セックスはそんな野蛮な男たちにではなく、自分ような紳士に与えられるべきものであり、大いなる不正が行われていると憎悪をたぎらせ、町や学校でカップルを見るたび憎悪し、アジア系の男がブロンドの女と話しているだけでも、なぜアジア人なんかを女が相手にしているんだと怒り心頭で人種差別もかなり激しい。

何を言っているんだこいつは?

って感じだが、これが彼の揺るぎない世界だ。

裕福な家の育ちだし、ルックスだって悪くない。普通なら全く女性に相手にされないってことはないだろう。しかし、彼は女性に無視し続けられたと書いている。

ここで、面白いのが、彼はとても内気で、自分から女性に対して一言も話しかけてないということだ。つまり自分からコミュニケーションをとろうとしていないのだ。普通に彼の言っていることを捉えると、コミュニケーションもなしに女性の方から「あなたとセックスさせてください」と言ってこないことを、女性から無視され、酷い仕打ちを受けてきたと怒り狂っていることになる。

ほな、アホな!

って話だが、ここは敢えて彼の話の中に共感する部分を見つけてみたい。

僕が若い頃、遊び人の知り合いがいた。次から次へと女の子をとっかえひっかえだ。インセルが言うところのチャドだ。確かにイケメンだけど、なんで、こんな奴が、こんなにモテるんだろう?誠実な僕の方がよっぽどいいのに!なんてことをブサメンの僕が思ったことがある。笑

まあ、そう思ってもエリオット・ロジャーのように、それに対して憎悪することはない。

当時、僕のことを好きだと言ってくれる女の子もいたし、付き合ってくれる子もいた。でも、もし、ことごとく振られ、拒絶されたら、エリオット・ロジャーのような狂気の憎悪とまでならなくても、遊び人の知り合いや、それに落とされる女の子に対して憎悪や嫌悪の念を抱いたかもしれない。

もし、僕の周囲がみな彼女持ちで、僕だけが、ことごとく振られ拒絶されていたら、その時の孤独感や喪失感は大きく、憎悪の念が湧きやすいと想像される。

逆に、皆が彼女が欲しいにも関わらず、誰も彼女を作ることが出来なければ、彼女が欲しいという気持ちが強くても孤独感や喪失感は、それほど大きなものにはならないだろう。

エリオット・ロジャーの思考は、さっぱり理解はできないけれど、こうやって想像してみると、相対的な喪失感や孤独感が大きく影響したのではないかという気がする。

 

アメリカはパートナーの存在のウェイトが日本に比べて社会的に重い社会だから、パートナーを獲得できないということの相対的喪失感や孤独感が日本より大きいと考えられる。だからインセルはアメリカに比べ日本では生まれにくい気がする。

とは言っても、日本でも別のことで相対的喪失感を味わっている人は多いだろう。そういった人たちが簡単に集まれるのがSNSであり、ひとたび集まればエコーチェンバー現象により、その思いや考えは増幅されていくから、インセルもアメリカの非モテのおかしな人たちの話とばかり言ってはいられないのかもしれない。

エリオット・ロジャーの言っていることは、ほとんどの人は「何言ってんだ?こいつ!」という印象だろう。でも、相対的喪失感というエリオット・ロジャーを生む素地を我々は心の中に持っている。

しかし、自分の軸をしっかり持っている人というのは、この相対的喪失感の影響を比較的受けにくい。

だから、軸を強固にするためにも、僕は学び続けることが大切だと思っている。

YUICHI KOBAYASHI

YUICHI KOBAYASHI

ちょっとした意識の持ち方で自分の世界は大きく広がります。人生を豊かにする楽しい学びをしていきましょう!!

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